宿題や定期テストの廃止、固定担任を撤廃し全員担任制とするなど、「学校の当たり前」をやめることで一躍有名となったのが、工藤勇一先生です。今回は、この工藤先生が記された「子どもが生きる力をつけるために親ができること」から得たヒントのご紹介です。
自分で考え、自分で判断し、自分でやってみる!を育てる声掛け
工藤先生が、自律を促す為に大切だと考えている3つの声掛けがあります。現場の先生方にも、このフレーズを忘れずに意識して声掛けできるように職員室や控室に貼って実行されていたのだそうです。
◆どうしたの?
◆あなたは、どうしたい?
◆何を支援して欲しいの?
特に、子どもにトラブルが生じた際に、大人の側は、つい「○○しなさい!」と強制的な声掛けを行いがちです。そういった声掛けでは、子どもはスムーズに気持ちを切り替えがたく、逆に意固地になって、裏目に出てしまうことが多いのだとか。
上記の声かけを行い、どのように考えて行動すべきかを繰り返し体験し、自己決定を積み重ねる事で、自ら主体性を持って動くことが養われていくというわけです。
タイムマシン・クエスチョン
教師:「10年後のあなたはどうなってると思う?」
子ども:「結婚して、仕事をしている。」
教師:「10年後も、○○などやり続けていたい?」
子ども:「いや、それはやらない。大人になってやるのは恥ずかしいから」
思春期の子どもたちは、周囲の人を困らせる行為を、いつまでも続ける事がよくないことであることを知っていることが多いのだそうです。そこで、タイムマシンクエスチョンを行い、子どもの振る舞いがよくないことであることを改めて考えてもらうことで、困った行動を改善するきっかけ作りを行う方法です。
人生は「やらないことを決めること!」
子どもたちが、「何もやりたいことがない」と言ってきた時に、工藤先生が切り返している言葉が以下の内容です。
・1日は、24時間しかない。
・まずは、自分が大切だと思う事を決める。
・その大切だと思う事のために、何をする必要があるのか?
・そして、何をしないと決めた方が良いのか?
正解は、人により異なる
私は、発達が凸凹のお子さんと接する機会が多くあります。そのような子どもたちと関わる際にも、工藤先生が勧める3つの声掛けは有効だと感じています。「○○しなさい!」と指示を出すのではなく、子ども視点も大切にしながら、関わっていく事の大切さです。
工藤先生は、長年の教員生活の中で子どもの育ちを考え、「生きる力」につながる情報を発信しています。そんな工藤先生が、結びに伝えているのは、「教育も子育ても、正解はない!」ということです。親子が安定した関係を築けている状態が何より大事だと。インターネットを通して様々な情報が発信されていますが、大切な自分軸を持って頂けたらと思います。私の場合、本を読んだり研修会に参加したりすると、すんなりそれらの情報を受け入れやすいタイプです。「東大読書」のように、記者の視点も持ちながら、再度自分軸を考えていきたいと思いました。
〜こみゅばんばん〜
参考書籍:「麹町中校長が教える子どもが生きる力をつけるために親ができること」
著者:工藤勇一(日本の教育者、横浜創英中学・高等学校校長)
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