『奇跡の保育園』

奇跡の保育園 学び

 勤務している事業所の了承を頂き、栃木県足利市にある「小俣幼児生活団」の視察に行ってきました。75年もの歴史ある保育園ですが、この20年間、職員の離職率も低く、子供たちの問題解決能力が高いと評判で、今年は24時間テレビにも取り上げられた保育園でもあります。それは、97歳の名物現役保育士(大川繁子先生)だけだなく職員全員で、幼児期に大切な「生きる力」を育んでくれていることに他なりませんでした。

私は、主任先生の説明を受けながら、敷地や園舎の中で過ごす子どもたちの様子を拝見しました。広大な敷地の中では、園舎や園庭だけでなく裏山も遊び場になっていて、見学させてもらう私が、いつの間にか童心に戻り「ここで、遊びたいなぁ…」と思っていました。小俣幼児生活団では、0歳・1歳児さんの乳児棟と 2〜5歳児さんが過ごす棟に分かれていて、縦割り保育が基本です。乳児期の小さい頃に、「どんなあなたでも尊重するよ。大丈夫」といった安心感をしっかり与え、縦割り保育では、お兄さん・お姉さんが年下の子どもたちの世話をするサイクルができているという事でした。小俣幼児生活団の理念は、保育園が「第二のお家」となるように安心して過ごせる居場所であってほしいと言う思いのもとこだわった保育を実践されています。その軸になっているのが、モンテッソーリ教育とアドラー心理学で、小俣幼児生活団に入職した保育士は、この2つを学び子どもたちとの保育に向き合うそうです。

小俣幼児生活団のこだわり

クラスのみんなで一緒に同じ事をするという設定保育はしない。
(年長の5歳児のみ、1日1時間だけ同じことをしようという活動がある)

その日1日をどう過ごすかは、子どもたちが決める。

給食もバイキング形式で、好きなものを好きなだけ食べることができる。
(嫌いな物は、無理やり食べる必要はない。)

保育士が決めるルールはほとんど無く、園児と話し合って決める

ケンカは、感情をコントロールする為の大切な経験なので基本的に見守る。

ケンカはすぐに止めるのではなく、大人が悪い方を決めて謝らせることもしない。

この子が悪いとジャッジし、禁止を伝えるのではなく、前に進めるように勇気づけを行う。

園児には指示・命令はせずに、「◯◯してくれませんか?」と声かけをする。

このような保育方針に変わったのは、繁子先生の次男である眞先生が園長になってからという事です。

大川眞園長が大切にしているのは、

「1人1人の子どもたちが、その子らしく幸せな人生を送ること。」

でした。

視察を終えて

 これまで、施設支援で様々な保育園や幼稚園に出向いてきましたが、小俣幼児生活団のような保育を目にした事がありませんでした。このような保育を実践していたら、自然と子どもたちは生き生きと、のびのびと「今」を思いきり生きれるのだろうなぁと感じました。地元の北九州の事業所や保育園に、広大な敷地はありませんが、モンテッソーリ教育やアドラー心理学などの考え方は、少しずつ学んで取り入れられそうだと思いました。

お昼後には、年長児さんたちと活動の時間としてドッチボールを楽しみました。最後に決着が着いた時は、かけがえの無い感情豊かな表現を垣間見ることができました。子どもたちには、「ここの保育園のどんなところが好き?」と尋ねてみました。
・うんていや鉄棒やブランコが楽しい
・お泊まり保育が楽しい
・先生が優しいところ
・自由に遊べるところ
・全部好き
・活動が面白いところ
・お母さんが、にこにこお迎えにきてくれるところ
などというコメントを聞くことができました!

最後に、主任先生より、繁子先生がいつも大切にしていたことを教えていただきました。それは、子どもたちに関わる前に「自分自身がご機嫌で幸せでいること。」自分の心にモヤモヤを抱えていると、それは自然に子どもたちに伝わってしまうと。この言葉を聞き、野口嘉則先生の「鏡の法則」を思い出しました。野口先生のオンライン塾でも同じような言葉を何度も教えられてきたからです。

「自分を愛せない人は、他人も愛せない」

「自分を信じることができなければ、他人も信じることはできない」

子どもたちに関わる前に、肝に銘じておきたい言葉です。モンテッソーリ教育やアドラー心理学の前に自分を整えるところから、仕切り直していきたいと思います。

さいご

小俣は、とてものどかで町も人も温かったです。1時間に1本の電車に乗りそびれそうだった私に、駅員さんは、「着いてから支払ってください」と優しい言葉をいただきました。

小さな雑貨屋さんでハンカチを購入したのですが、そのお店にお土産を忘れた事に気が付き走って戻っていたら、1人で切り盛りしているおばあちゃんが、走って私のところにお土産を持ってきてくれていました。

小俣幼児生活団の用務員さんに声を掛けられた際に、「予定時刻より20分も早いので外で待っています」と伝えると、用務員のおじさんは「そんなことでイライラするところじゃねえよ、ここは」と言われ、主任先生のところに案内していただきました。

私たちは、便利で豊かな生活をしているにも関わらず、時間に追われ大人の我々がせかせかしている事を実感させられました。自分自身から、温かなマインドを醸し出せるように、自分を、周りの家族を、仲間をほっこりできたなら、最高だなと思いました。小俣幼児生活団は、また、いつの日かご縁を頂けたらと思う素敵な空間でした。素敵な場所や人に出会えた事に感謝した1日となりました。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

〜こみゅばんばん〜

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