「小児在宅医療支援〜発達・育児支援の視点から〜」鳥取県立総合療育センター・療育支援シニアディレクター北原先生の講義を聴講しました

小児在宅医療支援 学び

医学モデルから生活モデルへ
 これまでのICIDH(国際障害分類)「医学モデル」では、身体機能の回復に向けて病状に対し、ひたすら訓練・アプローチが行われてきた。1980年に制定されたICF(国際生活機能分類)においては、「生活モデル」は人としての自立を目的とし、障害を治すことより「生活の質の向上(=QOL)」「地域社会への参加」を尊重しよう!という考え方にシフト移行されるようになった。高松鶴吉先生の「療育とは思想であり化学でありシステムである」ことから、技術重視の思考ではなく、「柱となる医療・保育・教育との結合が大切なのである」ことを改めて伝えている。障害は治らないが、その状況からできることが沢山あることを手助けしていくのが、我々他職種の役目であることを最初に伝えたい。

医療型児童発達支援センターの医療的ケア児への取り組み
 保護者は「身体が弱いから」という理由で、集団参加をためらうことも少なくない。しかし、断念させるのではなく、チャレンジしても大丈夫な環境を整えて、活動参加を進めることが大切。「こんなこともできる!」「こんな笑顔がみられる!」という様子を見せ、保護者の不安を軽減し笑顔を引き出す方法を探るのが、我々多職種の役割と言える。
 障害が重度になるほど、親は医療的ケアに追われ、一般的に感じられる子育ての楽しみの経験が少なくなる。児童発達支援センターのような場所では、障害が重くても、活動・支援が得られたという体験を少しでも味わって欲しい。

補助機器の活用について
 テクノロジーを活用し子どもだけが楽しむ世界から、家族に「ありがとう」と感謝される役割まで幅広い活用方法が生まれている。例)電動機器を用いて、スイッチひとつで、父にビールを運ぶetc
視線入力など様々なハイテク機器が開発され活用することで、「周囲が変わり、生活が変わり、生き方が変わる」ことも可能と言える世の中になりつつある。こういった支援の進捗状況も知っておきたい。

安全とリスクについて
 色々な活動・体験を楽しもうとすると、リスク管理が伴ってくる。「体調を崩すのでは?」「ケガをしたらどうしよう」などの心配に苛まれる。「安全とリスク」との狭間が狭いのが、障害児の特徴の1つであるが、大きなケガにならない小さなケガまでは良しと思えるかがポイントでもある。考え方・生き方・価値観で、何を重視されるかを保護者と共有していく必要がある。

訓練は専門家しかできないという誤解
 保護者は、「遊びではなく、訓練をしてください!」と言われるが…。色々な遊びが楽しめる事が成長・発達である事を認識して欲しい。いろんな遊びを楽しめるようにするのが、専門職の役割。訓練は専門職しかできないという認識は誤っている。個別の40分の訓練よりも、周りの大人が特性を理解して、子どもに伝わりやすい方法や楽しめる方法を日々徹底してあげる事の方がよほど大事である。職種同士の情報を共有していくことで、より力強いサポートが可能となる。尚かつ、保護者が我が子を的確に理解し、周囲に説明できることがより一層求められる。

子どもの情報管理をどうするか?
○生涯を通した情報管理
○複数の施設利用の際の情報共有
子育てしている保護者が、我が子の発達特性を的確に説明できることが大切である。その一つとして、サポートブックが挙げられる。

最後に
 個々に異なる子ども・親・家庭・地域に適した支援を多くの人の協力・連携のもとで工夫して取り組まれることが大切という言葉で終わる

以上が、今回の講義内容の要約です。

<聴講してみて…>
リハスタッフ個人としてだけでなく、いかに社会全体を巻き込んで、子どもたちや保護者の方々のサポートができるのかを模索して、皆さんと共有できる仕組みづくりに貢献したいと思いました。北原先生、貴重な講演をありがとうございました。

学び
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