『セルフアドボカシー』とは?

セルフアドボカシー 聴覚障碍

 2021/8/28(土)に、「福岡こどものきこえを支援する会」に、オンラインにて参加させて頂きましたので、その聞こえを支援する会の情報まとめです。
 御講演頂いたのは、岡山県早島クリニック耳鼻咽喉科皮膚科院長の福島邦博先生です。福島先生はクリニック以外に、利用児の7割が聴覚障害を有するお子さんである児童発達支援・放課後デイサービス事業「KIDS*FIRST」も運営されている聴覚障害児の聞こえ・発達に精通された先生です。

セルフアドボカシー

 今回の取り上げられていたテーマは「セルフアドボカシー」です。福島先生ご自身、事業所を立ち上げ、「障害受容」や「障害認識」を進めていく為に調べて学んだ概念だとおっしゃっていて、ここ数年で広まりつつある言葉でもあるようです。「セルフアドボカシー」を福島先生の言葉で分かりやすく表現すると生活上の障害や困難さを持っている人たちが、自分のために声をあげて、必要なサポートを獲得するために誰かと交渉し、目標となる状況に至る経緯のことを言うそうです。もともと、この用語はイスラエルのダウン症の方々が権利擁護の為に使い始めたのだそうで、聴覚障害に関わらず生活上に困難さを抱える子どもたち、全てに共通する大切な考えだと思いました。
今回は、聴覚障害に関するセルフアドボカシー力についてです。

セルフアドボカシーの3つ(知識・モチベーション・技術)の柱

セルフアドボカシーを身につける為に必要な3つの力についてです。

❶ 知識

  • 自分について
    自己の障害について(自分の難聴はどういうもので、どの程度のものなのかを理解する)
    自分に適した支援方法(自分の難聴に適した支援方法が、どのような方法かを知る)
    支援があれば活かせる自己の強み(自分の強みを把握し、主張ばかりを繰り返すのではなく、周りにどのような影響を与えていけるのかを考えられる)
  • 社会について
    基本的人権・法律や制度の知識
    支援制度や支援組織に関する知識(補聴器や人工内耳に関する補助制度の把握など)

 モチベーション
・自己効用感
 どんな自分でも大丈夫だという自己肯定感や粘り強く取り組める力
・「自分ごと」の関わり
 

 アサーション技術(自分の意思や要求を表明する権利があるとの立場に基づく適切な自己表現)

・語彙・文法・談話的能力
・相手の気持ちを推し量るエンパシー力

思春期までに身につけて欲しい技術

・自分の好み、興味、長所と限界を知っている
・「欲しい」と「必要」の違いがわかる
・自分の興味や必要性から選択できる
・複数の選択肢から選択ができ、結果が予期できる
・必要がある時に、行動を始められる
・行動後に振り返り、次に生かすことができる
・目標を設定しそれに向けて努力できる
・問題解決指向の技術
・他者の自立を尊重し、自分も自立できる
・自制心、継続する力、自尊心・自信
・コミュニケーション技術

*中学・高校生までにいきなりこれらを身につけることは困難!幼児期からセルフアドボカシーの方向性を持った上での支援・指導が必要

 大人の我々にも当然のように求められる要素が挙げられています。まとめコメントにあるように、思春期に入ってからではなく、幼児期からこの技術を見据えた上での関わりが大切です。以下が家族や支援者に求められる内容です。

家族が支援したいこと

・子ども自身が、「私は愛されている」ということを自覚できる関わり
・小さい時から自立を促し、自分で決める機会を作る
・自信を与えて自尊心を持たせる
・本人の「強み」と「興味」を見出して、賞賛する
・サービスについて「説明を受けたうえでの決定」を行う
・問題解決に協力する(考え方を提供する)
・将来を決めることをサポートするetc

最後に…

 今回、まとめた情報は大枠の内容です。後日、さらに皆さんと共有したい情報を加えアップできたらと考えています。聴覚障害に関わらず生活支援が必要な子ども達の「セルフアドボカシー力」を身につけていけるように、スタッフや保護者の方々、関係機関と連携して取り組んでいきたいと感じました。また、以前にもブログ記事でお伝えした『3本柱と5領域』『生きる力』にも通じる内容だと実感できました。関心があられる方は、閲覧して頂けると嬉しいです。
 また、来年以降も参加したい「福岡きこえを支援する会」情報でした。本日も、ご覧頂きありがとうございました。

参照資料:「就学期聴覚障害児のセルフアドボカシー」-小学生で考えること-
     早島クリニック 耳鼻咽喉科皮膚科 福島邦博

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