『2021デジタル音声教材のお知らせ』

Access Reading ICT関連

 2021/09/13に、東京大学先端化学技術研究センター主催の音声教材『Access Reading』についてオンライン研修を受けました。読み書きに困難さを抱える子どもたちを支援するICT技術も日進月歩で変化し続けています。今回は、現在主流のデジタル教材やそれらの特徴と申請方法などについて、まとめてみました。

読みの困難さとは

『読みの困難さがある』=文字が全く読めないわけではありません。何らかの理由によって、正確かつ流暢に読むことができない状態にあることを理解しておく必要があります。基本的には、知的発達に遅れがないものの、文字を介して情報を得ようとすると、困難さが現れるわけです。読みの困難さがあると、理解が不十分なまま、学習を進めることになり、テストの問題文を読むのにも時間を必要とし、理解できていても解答まで至らない可能性が生じてきます。その結果、学習が遅れ意欲をなくすなど、二次障害に発展する恐れにもつながるというわけです。そういった特性を持つ子ども達の支援方法の1つが今回のAccess Reading(読むことへの支援)となるわけです。

音声教材のご紹介

音声教材とは
文部科学省の委託を受けて提供されているサービスで「発達障害等により、通常の検定教科書では一般的に使用される文字や図形など認識することが困難な児童生徒に向けた教材で、パソコンやタブレット等の端末を活用して学習する教材」と定義されています。ちなみに、音声教材の利用に際しては、無償でサービスを受けられます。ただし、申請の手続きが必要になりますのでご確認が必要です。

音声教材の種類

現在の主流な音声教材は以下の6つとなっています。

① マルチメディアデイジー教科書
⇨朗読した音声を聞くことができ、読み間違いもなく、小学生にオススメ。
 検定教科書であれば、全教科の書目を扱っている。幅広い機器やアプリに対応している。申し込み時に、総ルビ版(全てにふりがながついている)の提供がある。(*申し込み時に希望する)。幅広い機器・アプリに対応している。
② AccessReading
⇨大学の研究室と図書室が共同運営しているオンライン図書館のようなもの。
 小学校高学年〜高等学校の検定教科書に対応している。
 Access Readingが提供しているのは❶DOCX形式(WordやGoogleドキュメンで使用可)❷EPUB形式(iPadのブックやAndroid、Google playブックスで使用可)
③ 音声教材BEAM(NPO法人エッジ)
⇨主に小中学校も国語・社会の検定教科書に対応。
 音声のみ(MP3)の音声教材
 正しい発音やアクセント、間合いなどが考慮されており、聞きやすい。
 
④ ペンでタッチすると読める音声付教科書
⇨対応学年は小中学校の国語の検定教科書
 東京書籍・光村図書・三省堂から出版されている教科書に対応
 特殊な加工印刷をした教科書と音声録音データの入ったペン
 ペンで教科書の該当部分をタッチすると音声の再生が始まる
 音量や速度も変更可能で、イヤホンもさせる
 ペンは筆箱んみ入るサイズで、低学年にオススメ

⑤ e-Pat(文字・画像付き音声教材)
⇨小中高の検定教科書を全学年全教科に対応
 iPad・iPhone・iPod touch +UDブラウザで利用可
 PDFモードとテキストモード(読み上げ、見た目の調整)に切り替え可能
⑥ UNLOCK(愛媛大学教育学部)
小中高の検定教科書を全学年全教科に対応
 CASIOの電子辞書EX-wordやCOM FRIENDのVOCA −PEN等の端末使用
 希望に応じてEPUB版も提供
 SDカードでデータを受け取る
 録音音源なので、読み間違いがない
 辞書なので、その場で単語の意味も調べることができる

*多様な音声教材が増えてきています。製作団体によって、機能や提供している教科・学年が異なりますので、各自で確認が必要です。

文科省のURLにも紹介がありますのでご確認ください。 

今回は、利用方法の紹介動画もありますので、ぜひご確認ください。使い方は、文章よりも動画紹介の方がわかりやすいと思います。

申し込み方法

Access Readingの場合は、こちらをクリックしてください。

Access Readingは、高等学校、農業、工業、商業、専門学校などで多く使われています。
小学校低学年に関しては、マルチメディアデイジーなどが使いやすくオススメだそうです。

申請時に必要な書類は、①同意書と②読みの困難さに関する状況報告書(診断書でなくても良いが、言語聴覚士や心理士・児童精神科医などの専門家の記入をお願いしている)の2点です。

その他に

・初めて音声教材を使う場合は、マルチメディアデイジーが第一選択としてあげられる
・Wordでは、書くことへの困難さも支援してくれる。録音データは含まれないので、データも軽めに準備されている。一度ダウンロードすれば、オフライン環境でも使える。Wordonlineが中でもgood。
・iPadの場合、正しい読み上げ方を辞書登録しておくと読み間違いの修正ができる。
・タッチペンは、有料となっている。値段は6000円程度。
・ロービジョンのお子さん、いーパットがお勧め。
・申込先として、発達障害は広島大学、視覚障害は慶應義塾大学が担っているなどの
情報もお知らせ頂きました。

最後に

 今回の研修では、見えやすさに特化したユニーバーサルデザイン書体(UDフォント)の紹介などもありました。また、音声教材の申し込み対象が、個人や学校だけでなく、発達支援の事業所や指導者用にも窓口が広がってきていることを知ることができました。時代やニーズに合わせてサービス内容も変化してきているようです。Access Readingの想いは、教科書の読みに限らず、自分の知りたいこと、学びたいことに積極的にアクセスできるようになってくれたらということにつながっています。

今回のような情報は、文科省で毎年紹介されているということでしたので、また来年以降も同じく情報更新のお知らせがあった時には、勉強したいと思いました。

コメント

  1. すずき より:

    デイジーだけじゃなく色々あるのがわかりました。ありがとうございます♪

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