今月の野口嘉則先生がお勧めする
課題図書は、『夜と霧』です。
この書籍は、精神科医であった
ヴィクトール・E・フランクルが
ユダヤ人であるということだけで
アウシュヴィッツ収容所に送られ、
苛酷な2年半もの収容所生活を
生き抜く事ができた要因を
記した貴重な1冊です。
フランクル自身の心と体を実体験とした
「強制収容所の心理学」として
集大成の1冊でした。
苛酷な状況下において、支えてくれたものは?
アウシュビッツ収容所は、ナチスドイツが
ユダヤ人を中心に、約110万人もの
虐殺を繰り広げた残酷な場所として
知られています。
収容所送りにされた人々は
働けるか否かで選別され、
役に立たないとみなされると
すぐにガス室に送られ、殺されていました。
狭い部屋に8〜10人もの大人が
糞まみれで管理され、1日に与えられた食事は
水のようなスープとパンを一欠片。
少しでもサボっていると見做されると
暴力や虐待を繰り返される日々。
自分が、いつ殺されてもおかしくない
そんな苛酷な環境下で生きていると、
人は防衛反応として、
どんな出来事にも「無感情」になります。
そのような生活の中で、
フランクルのメンタルを支えたのは、
「生きる意味」でした。
フランクルにとっての生きる意味は
愛する妻や家族などの存在でした。
同じように生き抜いてこれた同士には、
愛する家族ではなく、「愛する何か」を
持ちうる人だったと語っています。
家族などの”人”でなくても、
仕事や趣味など、解放された後に
「自分は、どうしたいのか?」を
抱き続ける事ができた人だったのです。
収容所生活から戻ったフランクルに
突きつけられた現実は、
愛する家族は死んでいて、
自分を待ってくれる存在は無いという事実。
フランクルを待っていたのは、
「誰か」ではなく「何か」だったと。
自分の人生にどんな意味があるのか?と
疑問を投げかける事があるけれど、
どんな状況下において
「どんな意味ある人生にするのか?」
「どんな態度をとるのか?」
「それに向けて、どんな行動をするのか?」
何らかの意味ある目標を持ち続けること
自分に問い、動き続けている人が
生き抜く事ができたのだそうです。
さいごに
初めてこの本を読んだ時、体全体が
凍りつくような、なんとも言えない
違和感を覚えました。この本に書かれた
内容が、自分が生きている世界でも
起こっていたことへの驚きと悲しみが
混同した複雑な思いでした。
フランクルは、
「それでも、人生に”YES”という」
言葉を遺しています。
どんな状況下にあっても、人生は
肯定できるという信念を持った言葉です。
苦しむこと、悩むことが
人生にとってマイナスというわけではなく
生きる光に繋がる何かなのだと。
真っ暗闇の中で、生きる源となる
光や希望、自分も改めて
考えさせられました。
自分を支えてくれる1冊として
大事にしようと思います。
ご興味を持たれた方は、覗いてみてください。
皆さんの心を支えてくれる1冊は
何でしょう?
素敵な本に出会えると良いですね。
今日も、最後までお読み頂き
ありがとうございました。
〜こみゅばんばん〜
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