「親子関係への支援」について御質問を頂きました。今回は、その内容をきっかけに「愛着障害」についてコメントさせて頂きます。
そもそも、愛着障害とは?
「愛着障害」とは、主たる養育者との適切な愛着関係が形成できなかった事により、対人関係の不器用さや不安定さが生じることを表します。ネグレクトや主たる養育者の頻繁な変更、極端に制限された養育環境などが原因として考えられます。要するに、「愛着障害」は、家庭背景などの環境的な問題から生じることと言えるのです。
愛着とは、母親との関係によって作られる基礎の絆。それが、ゆくゆくは、他人との関係に適用され、修正されていく。愛着は、対人関係の土台となるだけでなく、安心感の土台としてその人を守っている。安定した愛着は、安心感を高め、人とのふれあいに喜びを生み出す。愛着が安定している人は、不利な事があっても、跳ね除ける力が手に入りやすい。
引用:「愛着障害の克服」著者:岡田尊司(精神科医で作家、京都医療少年院などで若者をサポート)
上記のように、「愛着」は生後の間もない時期から、安定した親子関係の中で形成されその土台を基盤に、人との関わりが広げられるようになるのです。ただし、子ども自身が、特異的な発達特性を持って生まれてきた場合、親が熱心に関わろうとしても、思うように子どもが反応してくれず、その結果、不安定な親子関係に至る場合も少なくありません。
愛着障害の克服
本来、子どもにとっての安全基地は保護者であることは言うまでもありません。もし、愛着障害を有するお子さんと接する機会が生じたなら、愛着障害克服の手がかりは、その子どもにとって安心・安全となる媒介者の存在と言えます。情緒が安定せずに親子関係が心配だなと思われるケースは、やはり子どもを支援する周りの大人が愛情を持って支えていくことに他ならないのだと思います。特に、多様な発達特性を持つ子どもたちは、思うようにコミュニケーションがとれない事が多いので、子どもの目が輝く遊びを見つけて、保護者に通訳のように伝えていける役割を支援者が担っているように思います。
今回は、「親子共に支援が必要と思われるケースの場合に、どちらを優先して支援していくのが望ましいのか?」という質問に対し、今の自分が応えられる内容を記事にしてみました。どなたかの気持ちに届くと嬉しいです。
参考文献「愛着障害の克服」著者:岡田尊司(光文社新書)
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