ある聴覚障害の専門家となった聾者が「自分がここまで読み書きできるように語彙や言葉が育ったのは、両親が一緒に多くの時間をかけてお話をしてくれたからだ」と、両親との遊び・体験の必要性を語られています。どんな活動をしたかは二の次の問題で、両親とこれらのことをやった後に、それについて話す振り返りの時間を多く持つことで、新しい語彙の獲得や広がりに繋がるのです。
★ 一緒に何かをやって、多くのことを経験させる
★ 経験した事について、いっぱい会話を交わす
本物の経験とその経験にまつわる会話に接する事が、文字の世界への備え(語彙を広げること)として大切です。以下が、書籍に紹介されていた実践例です。
【日常生活において、子どもにも一緒にやらせてみましょう】
・買い物、散髪、お散歩、歯医者、銀行など子ども自身の用事でなくても、一緒に出かけて見せる
【お手伝いをさせましょう】
・お部屋のお掃除、皿洗い、おもちゃの片付け、車の洗車、お庭の草取り、靴を揃える、お風呂掃除
【特別な場所へ連れていきましょう】
・保護者と子どもで出かけるのが、楽しいと思える場所に出かける。動物園、公園、図書館、博物館等
【ゲームは親子でしましょう】
・ゲーム好きな子どもは多い。子ども1人で完結すると言葉は広がりづらいが、そこに親も一緒に参加すると、言葉や思考を深くするきっかけとなる。
読むことに繋がる具体案
- 寝る前など、毎日、読み聞かせの時間をとっておく
- 読んでいる内容について、言葉や手話でのお話を楽しむ
- 人形を使ってお話を演じる
- ホワイトボードとマーカーを準備し、コミュニケーションに役立てる
- 就学前の子どもには、座席札に家族の名前を書いておく
- 子どもの好きな本を繰り返し読む
- 目で見て分かりやすい「ことば絵じてん」などを用いる
- 子どもと一緒に近所を散歩し、草花や昆虫、木などの自然と触れ合う
- 童謡やふれあい遊びで、一緒に歌って踊って楽しむ
- 家の中にある一つ一つの物に、名前を書いたカードを貼るetc
日本でも、読み書きに優れている聴覚障害者の方の話を聞くと、「小さい時からたくさんの本を読んでいた」と答える人が多いようです。読み書きが得意な大人になる背景としては、聴覚障害の有無に限らず幼児期からたくさん本に親しんだ方が多いのは事実のようです。
(LDの特性を持っている人は別ですが…)
家庭でできる実践ガイドと書かれていますが、子どもに関わる全ての環境で、少しでも取り入れていきたい内容のご紹介でした。
参考書籍「聴覚障害児の読み書き能力を育てる」家庭でできる実践ガイドより
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